概要
「STC試験って、何が出るんですか」
この質問に対して、この記事では過去問の中身にはいっさい触れません。代わりに、CISTECが公表している「出題分野」の記載だけを整理します。
それでも十分に地図は描けます。むしろ、範囲の広がり方を知るほうが、学習計画には役立ちます。


- CISTECが公表している出題分野の範囲(過去問の中身には触れません)
- Associate・Advanced・Expertで範囲がどう広がるのか
- 「試験日現在施行の法令に準拠」が学習計画に与える影響
3つの級で、範囲はこう広がります
- Associate(初級):外国為替及び外国貿易法 第25条第1項・第48条第1項に関する輸出管理実務(試験日現在施行の法令に準拠)
- Advanced(中級):外為法等の法令/輸出管理手続/米国EAR再輸出規制
- Expert / Legal Expert(上級):法令科目+貨物・技術科目(Legal Expertは法令科目のみ)
ここから読み取れることが3つあります。
級ごとの出題分野
Associate:2つの条文に絞られる

Associateの範囲は、外為法25条1項と48条1項に関する実務です。
以前の記事でお伝えしたとおり、48条1項は貨物の輸出、25条1項は技術の提供です。輸出管理の中心となる2本の柱、そのものです。
「日本の輸出管理の、いちばん幹の部分」。
範囲が絞られているぶん、制度の周辺(米国法や体制構築)まで手を広げる必要はないということでもあります。
Advanced:3方向に広がる
Advancedになると、範囲の書き方が変わります。
① 外為法等の法令。Associateの範囲を含みつつ、より広くなります。
② 輸出管理手続。許可申請・特例・包括許可などです。
③ 米国EAR再輸出規制。★ここで日本国外の法律が入ります。
注目すべきは③です。日本の試験なのに、米国の法律が範囲に入ります。
なぜか。米国の輸出管理規則(EAR)は、日本から第三国へ再輸出する場面にも及ぶからです。日本企業でありながら米国のルールも見なければならない場面がある。実務の現実が、そのまま範囲に反映されています。
「Advancedから、見る法律が1つ増える」。
Expert:2科目制になる
上級は科目が分かれています。

法令科目は25問(選択式20+択一式5)を120分で、30点満点。
貨物・技術科目は10問を45分で、10点満点です。
Expertは両方、Legal Expertは法令科目のみを受験します。
配点を見ると、法令科目が30点、貨物・技術科目が10点。合計40点のうち、法令が4分の3を占めます。上級であっても、軸は法令だということが分かります。
なお、Expertは科目別の基準と合計点の基準の両方を満たす必要があります。片方だけ高得点でも合格にはなりません。
出題形式も公表されています

- Associate:○×式 25問・40分
- Advanced:選択式 25問・70分
- Expert:選択式+択一式/選択式 25問+10問・120分+45分
Associateだけが○×式です。1問あたり約1.6分。判断の速さが問われる形式といえます。
Advancedは同じ25問で70分。1問あたり2.8分と、Associateの倍近い時間があります。選択式で、より詳細な判断が求められる形式です。
「試験日現在施行の法令に準拠」の意味
Associateの範囲の記載に、こんな一文が添えられています。
試験日現在施行の法令に準拠
これは学習計画に直結する重要な情報です。試験日時点で施行されている法令が範囲だということです。
輸出管理の制度は毎年のように改正されます。直近でも

- 2025年10月9日:補完的輸出規制(通常兵器キャッチオール新制度)
- 2026年2月14日:貨物等省令の改正
- 2026年6月5日:外為法・輸出令の改正
つまり、古い教材で学ぶと、範囲そのものがずれる可能性があります。
CISTEC自身も、過去の試験問題について「出題時の法令に準拠しており、現行法令に対応していません」と注意を掲げています。
「法令は動く。学ぶなら現行版で」。
何を使って学べばよいのか
範囲が「現行法令」であるなら、一次情報が最も確実な教材ということになります。しかも、その多くは無料で公開されています。

- 制度の全体像:経済産業省「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]」
- 段階的な解説:経済産業省の説明会資料(入門編・初級編・中級編)
- 実務の論点:経済産業省Q&A(約600問)
- 条文そのもの:e-Gov法令検索
- 米国EAR:eCFR(米国連邦規則の原文)
特にAdvancedを狙う方にとって、EARの原文が無料で読めるというのは大きいはずです。米国政府の著作物はパブリックドメインなので、誰でも制限なく参照できます。
まとめ
- Associate:外為法25条1項(技術)・48条1項(貨物)に関する実務。○×式25問・40分
- Advanced:法令/手続/米国EARの3方向。選択式25問・70分
- Expert:法令科目30点+貨物技術科目10点。法令が4分の3を占める。科目別と合計の両基準
- Advancedから米国EARが入る。日本の試験で米国法を扱う理由は、実務でそうだから
- 範囲は試験日現在施行の法令。古い教材は範囲がずれる
- 一次情報の多くは無料。EAR原文も含めて公開されている
さて、あなたが狙う級の範囲は、思っていたより広かったでしょうか。それとも絞られていたでしょうか。
範囲が分かれば、あとは日程から逆算するだけです。その手順は、別の記事で扱います。


- 次に読む:STC試験って結局なに?4つの資格の違い — まだ読んでいなければ、こちらが先です
- あわせて読む:未経験から輸出管理を学ぶなら、どの順番か — 一次情報を、どの順で読むか(有料記事)
※ 出題分野・形式・時間は、CISTEC(一般財団法人安全保障貿易情報センター)が公表している受験要項によります。この記事は公表情報を整理したもので、CISTECが監修したものではありません。過去の試験問題の内容・傾向には一切触れていません。申込前には必ず公式サイトで最新の要項をご確認ください。
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