CP(輸出管理内部規程)の届出は、任意です。
法令上の義務ではありません。届け出なくても、輸出はできます。
では、なぜ届け出るのか。そして、届け出たあと、何が起きるのか。
この記事でいちばんお伝えしたいのは、ここです。
受理票が発行されると、毎年7月1日から7月31日までの間に、書類を提出する義務が生じます。
年1回の宿題が、恒久的に付いてきます。


この記事を読むと、あなたはこう変わります
- 届け出る前に、付いてくる義務が分かります
- 毎年7月という忘れやすい期限を、仕組みにできます
- 規程をゼロから書かなくてよいことが分かります
- 変更届と年次提出の混同がなくなります
この記事で扱うこと
この記事の後半では、実際に動ける形にします。
- 届け出る4つの理由:①包括許可の前提 ②対外的な信用 ③社内での重み ④違反時の評価
- 新規届出の提出資料5点:★規程は「様式任意」。複数規程でも、輸出管理以外を含んでも、★他者の規程を引用・準用してもよい
- ★受理票は2種類(別紙2・別紙3)。用途が違うので両方保管
- ★内容変更は「変更の事実が発生した日より1月以内」。新受理票の受理で旧受理票は失効するので、社内の写しも差し替え
- 取下げ:2枚とも効力を失う
- ★★毎年7月1日〜7月31日の自己管理チェックリスト提出。年次提出と変更届は別の手続き
- ★担当を属人化させない:異動で止まりやすい
- 届出前チェックリスト:★「回せない規程を届け出ない」
- 相談先(安全保障貿易検査官室/中小企業はアウトリーチ事業の体制構築支援)
そもそもCPとは

用語集の定義を引きます。
CP:Compliance Program(コンプライアンス・プログラム)の略称。輸出管理内部規程を指すことが多い。
そして、説明会資料はこう説明しています。
輸出や技術提供について一連の手続を規定するとともに、外為法等の関係法令を遵守し、違反を未然に防ぐための内部規程。 輸出者等が自ら定める組織の内部規程であり、自主管理を行うための“任意”のもの。 経済産業省への届出制度(任意)がある。規程内容が適切な場合、輸出管理内部規程受理票(CP受理票)を発行。
「規程を作ること」も「届け出ること」も、任意です。
1. なぜ届け出るのか:4つの理由
任意なのに、なぜ出すのか。実務上の理由を整理します。
① 包括許可の前提になる
これがいちばん大きい理由です。
包括許可制度は、「輸出者自身が審査機能を自主管理の下で担える場合」に認められる仕組みです。その自主管理の証明として、CPと受理票が効いてきます。
個別許可を1件ずつ取る運用から抜け出したいなら、避けて通れません。
② 対外的な信用になる
取引先から輸出管理体制を問われたとき、受理票は分かりやすい説明材料になります。
③ 社内の位置づけが上がる
「経済産業省に届け出た規程」になると、社内文書としての重みが変わります。守らせやすくなる、という現実的な効果があります。
④ 違反時の評価に影響しうる
公表データでは、違反企業の71%はCP未届出という傾向が出ています(違反企業の71%はCP未届出)。
また、CP届出企業は6割が自社で違反に気づいているというデータもあります。体制があるから気づける、という関係です。
2. 新規の届出:提出する5点

「輸出管理内部規程(CP)の届出等について」に定められている提出資料です。
| # | 資料 | 様式 |
|---|---|---|
| ① | 輸出管理内部規程 | 様式任意 |
| ② | 輸出管理内部規程の届出について | 様式1 |
| ③ | 輸出管理内部規程総括表 | 様式2 |
| ④ | 輸出者等概要・自己管理チェックリスト | 様式3 |
| ⑤ | 届出事項が事実であることを証する書類の写し(登記簿上の届出者名及び住所が確認できる書類) | — |
★①は「様式任意」です。国が様式を決めているわけではありません。
そして、CPの定義にはこうあります。
複数の規程によって構成されるもの、輸出管理以外の事項をも包含するもの、規程の一部について他者の輸出管理内部規程を引用し、又は準用して読み替えるものを含む
つまり
□ 1本の規程にまとめなくてよい
□ 輸出管理以外の内容が入っていてもよい
□ ★他社の規程を引用・準用してもよい(グループ会社等)
すでにある社内規程を活かせます。 ゼロから1本作る必要はありません。
ただし、外為法等遵守事項(別紙1に定めるもの)をすべて含むことが条件です。
3. 発行される受理票は2種類

ここは正確に押さえてください。
届出を行い、別紙1の内容を満たすと認められる場合には、「輸出管理内部規程受理票(別紙2)」及び「輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票(別紙3)」が発行される。
【新規届出で発行されるもの】
① 輸出管理内部規程受理票(別紙2)
② 輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票(別紙3)
2枚出ます。 用途が違うので、両方を保管してください。
4. 内容を変えたら「1月以内」に届出

規程を改定したときの手続きです。
「輸出管理内部規程受理票(別紙2)」が発行された輸出管理内部規程の内容を変更した場合は、変更の事実が発生した日より1月以内に、以下の資料を提出すること。
① 輸出管理内部規程(様式任意) ② 輸出管理内部規程の内容変更届(様式4) ③ 輸出管理内部規程総括表(様式2)
★期限は「変更の事実が発生した日より1月以内」です。
【起点】
規程を改定した日(変更の事実が発生した日)
↓
★1か月
↓
届出の期限
改正対応で規程を直したら、その足で届出の準備に入る。この流れを手順に組み込んでください。
そして、重要な効果があります。
なお、新たな受理票を受理した時点で、内容変更前に発行された受理票は効力を失う。
古い受理票は無効になります。 社内で配布している写しがあれば、差し替えが要ります。
5. 取下げ
やめるときの手続きもあります。
輸出管理内部規程の届出を取下げる場合には、「輸出管理内部規程の取下げ届(様式5)」を提出すること。 なお、取下げの届出がされた時点で、発行されている「輸出管理内部規程受理票(別紙2)」及び「輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票(別紙3)」は効力を失う。
★2枚とも効力を失います。
6. 毎年7月:これが本題です

この記事の核心です。
「輸出管理内部規程受理票(別紙2)」が発行されている者は、毎年7月1日から7月31日までの間に、輸出者等概要・自己管理チェックリスト(様式3)を提出すること。
整理します。
【対象】
受理票(別紙2)が発行されている者 ★全員
【時期】
毎年 7月1日 〜 7月31日 ★1か月間だけ
【提出物】
輸出者等概要・自己管理チェックリスト(様式3)
【結果】
輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票(別紙3)が発行される
★これを知らずに受理票を取ると、翌年から毎年宙に浮きます。
実務としてやるべきこと
□ ★年間カレンダーに「7月:CPチェックリスト提出」を固定で入れる
□ 6月中に、前年からの変更点を洗い出す
→ 組織変更・責任者の交代・取扱品目の変化
□ ★規程の内容が変わっていたなら、
そちらは「1月以内」の変更届が別途必要(7月を待たない)
□ 提出後、別紙3の受理票を受け取り、保管
□ 前年の別紙3と差し替える
★3つ目に注意してください。
【混同しやすい】
規程の内容を変えた → ★変更届(様式4)を1月以内
チェックリストの年次 → ★7月に様式3
この2つは別の手続きです
規程を4月に改定したなら、5月までに変更届を出し、そのうえで7月にチェックリストを出します。7月にまとめてやればいい、ではありません。
7. 誰が担当するか
小さな話に見えて、実務では効きます。
【新規届出】
□ 規程の作成 → 輸出管理部門(+法務)
□ 登記簿の取得 → 総務
□ 提出 → 輸出管理部門
【毎年7月】
□ ★担当者を明示しておく
□ 異動があっても引き継がれる形にする
→ 部署の年間業務一覧に載せる
→ 個人のタスク管理だけに置かない
★「前任者が毎年やっていたが、異動で止まった」。これが起きやすい手続きです。属人化させないでください。
8. 届出前のチェックリスト
新規に出す前に、確認しておくことです。
【規程の中身】
□ 外為法等遵守事項(別紙1)をすべて含んでいるか
□ 統括責任者は組織を代表する者(代表取締役)になっているか
□ 該非確認責任者が定められているか
□ 部門の権限・責任・業務分担が書かれているか
□ 該非確認/用途・需要者確認/出荷確認の手続が定められているか
□ 監査・教育・資料管理・子会社指導・報告の規定があるか
□ ★文書の保存期間(少なくとも7年間)が入っているか
【運用】
□ 規程どおりに実際に回せるか
→ ★回せない規程を届け出ると、監査で困る
□ 帳票が用意されているか
【体制】
□ 7月の年次提出の担当が決まっているか ★
□ 規程を改定したときに変更届を出す手順があるか ★
★「回せない規程を届け出ない」。これは実務者の実感として重要です。理想を書きすぎると、自分の首を絞めます。
9. 相談先
CP・輸出者等遵守基準に関する相談は、安全保障貿易検査官室が窓口です。
経済産業省 安全保障貿易検査官室
TEL:03-3501-2841
規程を作る段階から相談できます。 また、中小企業であればアウトリーチ事業の体制構築支援(無料)でアドバイザーの派遣を受けられます。
まとめ
- CPの作成も届出も任意。ただし出すと年1回の義務が付いてくる
- 届け出る理由は①包括許可の前提 ②対外的な信用 ③社内での重み ④違反時の評価
- 新規届出の提出資料は5点。★規程は「様式任意」
- 複数規程でも、輸出管理以外を含んでも、他者の規程を引用・準用してもよい。外為法等遵守事項をすべて含むことが条件
- ★受理票は2種類(輸出管理内部規程受理票=別紙2/自己管理チェックリスト受理票=別紙3)
- ★内容変更は「変更の事実が発生した日より1月以内」。様式4+総括表。新受理票の受理で旧受理票は失効
- 取下げは様式5。★2枚とも効力を失う
- ★★受理票が発行されている者は、毎年7月1日〜7月31日に自己管理チェックリスト(様式3)を提出
- 年次提出と変更届は別の手続き。規程を改定したら7月を待たずに1月以内に変更届
- ★年間カレンダーに固定し、属人化させない
- 回せない規程を届け出ない。監査で困る
- 相談は安全保障貿易検査官室(03-3501-2841)。中小企業はアウトリーチ事業の体制構築支援(無料)も
さて、自社に受理票があるなら、今年の7月の提出は、済んでいるでしょうか。


※ 手続き・様式・期限は経済産業省「輸出管理内部規程(CP)の届出等について」(2025年5月9日施行)によります。手続き・様式は改正されることがあります。 実際に届出を行う際は、必ず 経済産業省 安全保障貿易管理 で最新の様式・要領をご確認ください。
改正を見落とさないために(無料)
安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。
社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。
