概要
これまでの2本で、2024年度のデータを見てきました。ただ、1年だけの数字ではその年たまたまそうだったのかもしれません。
そこで3年分を並べてみます。すると、はっきり動いている項目と、まったく動かない項目に分かれました。
動いているのは違反原因です。該非判定の比率が下がり、管理体制の比率が上がっています。


- 3年分を並べると、違反の何が動いていて、何が動かないのか
- 違反原因の重心が「該非判定」から「管理体制」へ移っていること
- 来年以降、どの数字を見ればよいのか

3年で動いているもの
① 違反原因の重心
3年分の比率は、こう動きました。
- 該非判定:64% → 69% → 52%
- 管理体制:28% → 21% → 36%
- 取引審査:2% → 3% → 10%
- 出荷管理:4% → 3% → 0%
- 故意:2% → 3% → 2%
該非判定は69% → 52%へ下がり、管理体制は21% → 36%へ上がりました。取引審査も3% → 10%と増えています。この動きは輸出管理違反の52%は「該非判定」で起きているでグラフにしていますので、あわせてご覧ください。
「貨物の判定でのつまずきが減り、体制と取引審査でのつまずきが増えた」。
ただし注意が必要です。この統計の母数は年間数十件規模です。数件の増減が比率を大きく動かします。「傾向が変わった」と断定するには、もう1〜2年の観察が要ります。
② 処分の内訳

- 報告書(軽微):84% → 79% → 69%
- 経緯書+口頭注意:14% → 15% → 26%
- 経緯書+文書厳重注意:2% → 3% → 5%
- 警告:0% → 3% → 0%
- 行政制裁:3年とも0%
いちばん軽い「報告書」で済む割合が84% → 69%へ下がり、その分「経緯書+口頭注意」が14% → 26%へ増えています。
行政制裁と警告は3年とも、ほぼゼロです。故意の悪質な違反に対する処分実績は無い、ということでもあります。
3年で動かないもの
① 違反する企業の姿
CP未届出企業の割合は、70% → 67% → 71%。
3年とも約7割。 これは動きません。前回の記事で見たとおりです。
② どこへ輸出して違反しているか

- アジア:60% → 70% → 65%
- 欧州:12% → 13% → 19%
- 北中南米:17% → 11% → 14%
- 中東:11% → 6% → 1%
アジア向けが一貫して6〜7割を占めています。取引量を考えれば自然ではありますが、違反の大半はアジア向けで起きているという事実は押さえておく価値があります。
③ どの規制で引っかかっているか
- 大量破壊兵器関連:50% → 56% → 53%
- 通常兵器関連:36% → 42% → 42%
- 武器関連:10% → 2% → 5%
大量破壊兵器関連と通常兵器関連で、3年とも9割前後を占めます。上の図の下段のとおりです。この構図は安定しています。
3年分から読み取れること
数字を並べてみて、言えそうなことを整理します。
① 該非判定は依然として最大の原因ですが、それだけでは足りません
52%はいまも最大です。ただ、管理体制36%・取引審査10%を合わせると46%。該非判定以外の理由が半分近くを占めるようになりました。
② 違反する企業の姿は変わっていません
CP未届出が約7割という構図は、3年とも同じです。制度が変わっても、つまずく会社の性質は変わらないということかもしれません。
③ 舞台もほぼ固定されています
アジア向け6〜7割、大量破壊兵器・通常兵器関連で9割前後。ここは動きません。
まとめ
- 動いた:違反原因の重心(該非判定↓ 管理体制↑ 取引審査↑)、処分の内訳(軽微な処分が減少)
- 動かない:CP未届出約7割、アジア向け6〜7割、大量破壊兵器・通常兵器関連で9割前後
- 母数は年間数十件規模。単年の増減で断定しない
3年並べて分かるのは、「去年と同じ対策を続けていればいい、とは限らない」ということです。
該非判定の手順を整えたなら、次は取引審査でしょうか。それとも体制の見直しでしょうか。自社にとってどちらが手薄か。その問いを持って、次のデータ公表を待つのがよさそうです。

なお2025年度分は、例年どおりなら2026年末ごろに公表される見込みです。そのときはまた4年分を並べて見てみましょう。


- 次に読む:外国ユーザーリストに載っているのはどんな組織か — 相手を確かめるための835件
- あわせて読む:輸出管理違反の52%は「該非判定」で起きている — 違反原因の動きをグラフで
※ 数値は経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)」2022年度・2023年度・2024年度分(それぞれ2024年1月・2024年12月・2025年12月公表)によります。割合は主要因を集計したもので、事案によっては付随する要因があります。四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
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