概要

輸出管理の違反と聞くと、大きな会社の話だと感じませんか。

データは逆を示しています。2024年度に処分が決定した事案のうち、違反企業の71%はCP(輸出管理内部規程)を届け出ていない企業でした。そして資本金3億円以下が61%従業員300人以下が64%を占めています。

「うちは小さいから、そこまでやらなくても」。この感覚が、いちばん危ないのです。

みなとくん船長、うちみたいな規模でも本当に関係あるんでしょうか
あんぼう船長それがな、みなとくん。数字はきみのような会社のほうが多いと言うておるんじゃ
## この記事で学べること
  • 違反している企業の多くが大企業ではないという事実
  • CPとは何か、届け出の有無が何を意味するのか
  • なぜ規模が小さいほど違反が起きやすいのか

まず「CP」とは何か

CP=「輸出管理の社内ルールブック」です。正式には輸出管理内部規程といいます。

経済産業省に任意で届け出る制度があり、内容が適切であれば受理票が発行されます。義務ではありません。届け出なくても違反ではありません。

ただし、届け出ている会社と、届け出ていない会社で、違反の起き方がはっきり違います

違反企業の内訳

違反の3件に2件は、中小規模の企業
違反の3件に2件は、中小規模の企業

2024年度のデータです。CP未届出の企業が71%(届出企業は29%)、資本金3億円以下が61%(3億円超は39%)、従業員数は21〜300人が43%、20人以下が21%、300人超が36%です。

従業員300人以下を合わせると64%違反の3件に2件は、中小規模の企業で起きているという計算になります。

3年並べても傾向は変わらない

単年の偶然ではないか。そう思われるかもしれません。上の図の下段が3年分です。CP未届出企業の割合は2022年度70%、2023年度67%、2024年度71%

3年とも約7割です。傾向として安定しています。

大事なのは「CPを出したかどうか」ではない

ここで誤解してほしくないことがあります。

CPを届け出れば違反しなくなる、という話ではありません。 届出はあくまで手段です。

注目すべきは、CPを届け出ている企業と、そうでない企業で「違反の見つかり方」が違うという点です。別の記事で詳しく扱いますが、先に結論だけお伝えします。

ルールブックがある会社は、自分で見つけられる
ルールブックがある会社は、自分で見つけられる

CP届出企業は自社の監査等で気づいた割合が61%、税関の事後調査で発覚した割合が21%。CP未届出企業は自社で気づいたのが17%、税関で発覚したのが74%です。

CPを届け出ている企業は、自分たちで気づいています。届け出ていない企業は、外から指摘されて初めて知ります

「ルールブックがある会社は、自分で見つけられる」

なぜ規模が小さいほど起きやすいのか

データからは理由まで読み取れません。ただ、原因の分類と重ねると、見えてくるものがあります。

人に依存すると、仕組みにならない
人に依存すると、仕組みにならない

2024年度の違反原因のうち、管理体制に関するものが36%あり、その内訳の最大は「管理ルール・体制未整備」19%でした。

  • 輸出管理を担当する人が、他の業務と兼任している
  • 判定の手順が、担当者の頭の中にしかない
  • 担当者が変わったときに引き継がれない

規模が小さいほど、こうした状態になりやすいのは想像がつきます。人が足りないから仕組みにできず、仕組みがないから人に依存する。この循環です。

それでも罰則は同じ

規模によって、罰則は変わらない
規模によって、罰則は変わらない

会社の規模によって、法律が手加減してくれることはありません。

外為法違反には刑事罰行政制裁の二段構えがあり、どちらも企業規模で変わるものではありません。むしろ、輸出取引ができなくなる期間が生じたとき、体力の少ない会社ほど影響は大きいとも言えます。

「知らなかった」も通用しません。2024年度の違反原因には、「外為法の認識欠如・知識不足」が9%として、はっきり計上されています。

まとめ

  • 違反企業の71%はCP未届出。3年とも約7割で安定している
  • 資本金3億円以下が61%従業員300人以下が64%
  • CP届出企業は61%が自社で気づく。未届出企業は74%が税関で発覚
  • 違反原因の36%が管理体制。最大は「管理ルール・体制未整備」19%
  • 規模によって罰則は変わらない

さて、あなたの会社は、輸出管理の手順が書き出されているでしょうか。それとも、誰かの頭の中にあるだけでしょうか。

この「気づき方の差」は、別の記事でもっと深く見ていきます。違反の59%は税関で見つかっている。では、残りはどこで見つかっているのでしょうか。

みなとくん船長、規模が小さいほど危ないって、逆だと思っていました
あんぼう船長そう思う人が多いから、こうなるのじゃろうな。じゃが裏を返せば、仕組みを作るだけで大きく変わるということでもある
次に読むなら、こちらをどうぞ。

※ 数値は経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月公表)ほか2022・2023年度分によります。CP(輸出管理内部規程)の届出は任意の制度です。

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