概要

自社の輸出管理に問題があったとき、どうやってそれに気づくと思いますか。

2024年度のデータでは、違反発覚の59%が税関の事後調査によるものでした。自社で気づいたのは30%にとどまります。

ところが、CPを届け出ている企業だけを見ると、自社発覚が61%に跳ね上がります

同じ「違反」でも、気づき方がまるで違うのです。

みなとくん船長、税関で見つかるって……それ、かなり気まずくないですか
あんぼう船長気まずいで済めばよいがのう。じゃが、そこが分かれ道でな。自分で見つけられる会社は、たしかに存在するのじゃ
## この記事で学べること
  • 違反の約6割が税関の指摘で発覚しているという事実
  • CPの有無で発覚経路がまったく変わること
  • 「自社で見つける」ことにどんな意味があるのか

違反はどこで見つかっているのか

まず全体です。発覚の端緒を分類すると、こうなります。

3件に2件は、外から言われて知る
3件に2件は、外から言われて知る

いちばん多いのが税関で59%。次が自社発覚で30%です。以下、他社指摘が7%、経済産業省が4%、警察が0%と続きます。

分類しなおすと、自社発覚と他社指摘が自主通報、税関・経済産業省・警察が公的機関の指摘です。まとめると、自主通報が37%、公的機関の指摘が63%になります。

「3件に2件は、外から言われて知る」

なぜ税関で見つかるのか

ここは制度の作りを知っておくと腹落ちします。

輸出には二段構えがあります。

税関は、答え合わせをする場所
税関は、答え合わせをする場所

まず経済産業大臣の輸出許可(外為法48条)を受け、そのうえで税関の輸出許可(関税法67条)を受ける。この2段階です。

関税法第70条により、他の法令で許可・承認が必要な貨物は、その許可を受けている旨を税関に証明しなければ輸出が許可されません

つまり税関は、外為法のチェックが効いているかを確認する最後の関所なのです。だからこそ、そこで引っかかる。

「税関は、輸出管理の答え合わせをする場所」

CPの有無で景色がまったく違う

ここからが本題です。同じデータを、CP(輸出管理内部規程)の届出有無で分けてみます。

知らせは、どちらから届くのか
知らせは、どちらから届くのか

自社発覚は、CP届出企業が61%なのに対し、未届出企業は17%。税関はその逆で、届出企業が21%、未届出企業が74%です。他社指摘は9%と7%、経済産業省は9%と2%でした。

数字が反転しています。

  • CP届出企業:自主通報70% / 公的機関の指摘30%
  • CP未届出企業:自主通報24% / 公的機関の指摘76%

CPを届け出ている企業は、7割が自分たちで見つけています。届け出ていない企業は、4件に3件が外から指摘されて知ります

「自分で見つける」ことの意味

ここで少し立ち止まってください。どちらも違反であることに変わりはありません。

それでも、自分で見つけられることには意味があります。

  • 是正が早い。指摘を待たずに動ける
  • 範囲を自分で把握できる。過去の取引まで遡って確認できる
  • 再発防止を自分の言葉で説明できる

輸出管理では、違反が判明したときに経緯書や報告書の提出を求められます。そのとき「外から言われるまで気づかなかった」のか「自社の監査で見つけて自ら報告した」のかは、同じ出来事の受け止められ方を変えます。

では、何が「自社発覚」を生むのか

CPそのものが違反を防ぐわけではありません。CPを届け出るような会社は、監査の仕組みを持っている。これが実態に近いはずです。

差を生むのは、立ち止まる機会
差を生むのは、立ち止まる機会

実際、CPの届出制度では、届け出た企業は毎年7月に自己管理チェックリスト(CL)を提出することになっています。年に一度、自分たちの運用を点検する機会が制度として組み込まれているわけです。

「見直す機会が仕組みとして入っているかどうか」

3年分の推移

自社発覚の割合は、年によって振れています。

自社発覚の割合は、2022年度が42%、2023年度が27%、2024年度が30%でした。

母数が年間数十件の世界なので、単年の増減で傾向を語るのは慎重であるべきです。ただ、どの年も過半数は外部から指摘されているという点は共通しています。

まとめ

  • 違反発覚の59%が税関。自社発覚は30%
  • 全体では自主通報37% / 公的機関の指摘63%
  • CP届出企業は自社発覚61%、未届出企業は税関発覚74%と反転する
  • 税関は関税法70条により、外為法の許可を確認する最後の関所
  • CP届出企業には年1回のチェックリスト提出が制度として組み込まれている

もし今、自社の輸出管理に見落としがあったとして、それはいつ、誰が見つけるでしょうか。

税関の事後調査を待つのか、自分たちの点検で見つけるのか。この違いを生むのは、特別な才能ではなく、年に一度立ち止まる仕組みがあるかどうかなのかもしれません。

みなとくん船長、見つけてもらうんじゃなくて見つける側になりたいです
あんぼう船長よい心構えじゃ。そのためには、点検の型を持つことじゃな。いっしょに整えていこうぞ
次に読むなら、こちらをどうぞ。

※ 数値は経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月公表)ほか2022・2023年度分によります。税関の位置づけについては関税法第70条および関税法基本通達70-1-1によります。

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