概要
経済産業省が公表している外為法違反事案の分析結果(2024年度)によると、違反原因の52%が該非判定(がいひはんてい)に関わるものでした。
しかも、そのうち最も多いのは「判定を誤った」ではありません。「そもそも判定していなかった」です。
あなたの会社では、輸出する製品の該非判定を、誰が、いつ、どの手順でやっているか説明できますか?


- 違反原因の半分が「貨物の判定」でつまずいていること
- 該非判定52%の内訳をさらに分解すると何が見えるか
- 管理体制36%が示す「知らなかった」という原因
違反原因の内訳を見てみましょう

まず全体像です。2024年度に処分が決定した事案を、原因ごとに分類したものが上の図です。該非判定に関するものが52%、管理体制に関するものが36%、取引審査に関するものが10%、故意が2%、出荷管理に関するものが0%でした。
故意の違反は2%しかありません。 つまり、ほとんどは「悪意なく起きている」ということです。
「やってやろうと思って違反した会社は、ほぼいない」。
52%をさらに分解する

では、その52%の中身は何でしょうか。上の図のとおり、判定未実施・非規制思い込みが32%、判定誤り・法令解釈誤りが15%、他者の誤判定を鵜呑みが5%です。
いちばん多い32%が「判定未実施・非規制思い込み」です。
これは「難しい条文を読み間違えた」という話ではありません。「うちの製品は関係ないと思っていたので、そもそも調べなかった」ということです。
「間違えた人より、調べなかった人のほうが多い」。
判定を誤るには、まず判定をする必要があります。ところが最大の原因は、その手前にありました。
「他者の誤判定を鵜呑み」の5%が示すこと
もうひとつ、見ておきたい数字があります。他者の誤判定を鵜呑みにした違反が5%あります。
メーカーから該非判定書をもらい、それを信じて輸出した。ところがその判定書が間違っていた。というケースです。
ここで大事な事実があります。輸出の責任を負うのは、判定書を作ったメーカーではなく、実際に輸出した会社です。
もらった書類があるから安心、とはならないわけです。
管理体制36%:「知らなかった」も原因になる

該非判定に次いで多いのが、管理体制の36%です。中身は上の図のとおりで、管理ルール・体制未整備が19%、外為法の認識欠如・知識不足が9%、輸出管理体制の不備・形骸化が8%です。
注目したいのは「形骸化」という言葉です。ルールが無いのではなく、あるのに動いていない状態を指しています。
社内規程は作った。チェックシートもある。でも実際には誰も見ていない。これも違反原因として数えられているのです。
3年分で見ると、傾向が動いている

1年だけの数字では偶然かもしれません。3年分を並べたのが上の図です。該非判定は64%→69%→52%、管理体制は28%→21%→36%、取引審査は2%→3%→10%と動いています。
該非判定の比率は下がり、管理体制の比率が上がっています。
この動きをどう読むかは慎重であるべきですが、少なくとも「該非判定さえ気をつければいい」とは言えなくなってきた、とは言えそうです。
まとめ
数字を整理します。すべて2024年度・2025年12月公表のデータです。
- 違反原因の52%が該非判定。ただし2022年度は64%、2023年度は69%で、近年は下がっている
- その中の最大は「判定未実施・非規制思い込み」32%。誤りより「調べていない」が多い
- 他者の誤判定を鵜呑みが5%。責任を負うのは輸出者本人
- 管理体制が36%まで上昇。「ルールはあるが形骸化」も原因に数えられる
- 故意の違反は2%。ほとんどは悪意なく起きている
さて、ここまで読んで、自社で最初に確認すべきはどこだと思われたでしょうか。
「判定していない製品がないか」でしょうか。それとも「判定書を鵜呑みにしていないか」でしょうか。


- 次に読む:輸出管理は「法律・政令・省令・通達」の4階建て — 判定でつまずかないために、法令の地図を先に持つ
- あわせて読む:違反企業の71%はCP未届出 — どんな会社で違反が起きているのか
※ 数値は経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月公表)によります。対象は2024年4月1日から2025年3月31日までの間に処分を決定した事案です。割合は主要因を集計したもので、事案によっては付随する要因があります。
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