この記事で学べること
- 2025年10月9日施行で、名称と中身が具体的に何が変わったのか
- 通常兵器キャッチオールの新制度・HSコード指定・顧客要件の3点
- 社内資料のどこを、いつまでに差し替えるべきか
変わったのはここ

名称:キャッチオール規制 → 補完的輸出規制(※下の注を参照)
通常兵器キャッチオール:一般国向けは限定的 → 一般国向けの新制度が導入
対象品目の指定方法:貨物の分類による → 特定品目をHSコードで指定
判断のきっかけ:客観要件・インフォーム要件 → 顧客要件が追加
いつから:2025年10月9日 施行
誰に影響するか:リスト規制に非該当の貨物を輸出しているすべての事業者。特に工作機械・測定機器・集積回路などを扱う方
やること:確認シート・フロー図を新制度対応版に差し替える。旧版のまま運用していると、確認すべき項目が抜けます


「キャッチオール規制」という言葉が消えたわけではありません。
経済産業省の公式ページは、いまも 「補完的輸出規制(キャッチオール規制)」 と併記しています。制度の概要ページでは「キャッチオール規制」の表記も残っています。

- 正式に整理された呼称:補完的輸出規制
- 実務・資料で今も通用:キャッチオール規制
- 経済産業省の公式表記:補完的輸出規制(キャッチオール規制)
どちらを使っても間違いではありません。 ただし、社内文書や検索では両方の言葉で当たるようにしておいてください。片方だけで検索すると、資料を取りこぼします。
そもそも何の規制か
補完的輸出規制=「リスト規制で拾えなかったものを、用途と相手で拾う二段目の網」です。
輸出令別表第一の1項から15項に該当しない貨物でも、兵器開発などに使われるおそれがある場合には許可が必要になります。この仕組みが、今回見直されました。
制度の全体像は、別の記事「リスト規制と補完的輸出規制は何が違う?」で扱っています。ここでは変更点に絞ってお伝えします。
変更点①:通常兵器キャッチオールに新制度
これが今回いちばん大きな変更です。
従来、通常兵器に関するキャッチオール規制は、国連武器禁輸国・地域向けが中心でした。今回、一般国向けにも新しい制度が導入されています。
つまり、これまで対象外と考えていた仕向地でも、確認が必要になる場合があるということです。
なお、グループA(輸出令別表第三の27か国)向けには、通常兵器キャッチオール規制は適用されません。この点は変わっていません。
変更点②:特定品目がHSコードで指定される
新制度では、特定品目という考え方が導入されました。
一般国向けの通常兵器キャッチオール規制の対象として、12の品目が指定されています。
- 1〜6:レーザー加工機/マシニングセンター/旋盤/ボール盤・フライス盤/研削盤/平削り盤ほか(工作機械群)
- 7:レーダー、航行用無線機器、無線遠隔制御機器
- 8:集積回路
- 9:航空機・宇宙飛行体・打上げ用ロケット及びこれらの部分品
- 10:羅針盤その他航行用機器
- 11〜12:分析用機器/オシロスコープほか測定機器
12品目のうち6つが工作機械です。工作機械を扱う事業者にとって、影響が大きい改正といえます。
そして、これらはHSコード(関税分類の番号)で指定されています。
「輸出申告で使う番号が、規制の判断にも使われるようになった」。
HSコードは通関で必ず使う番号です。社内の既存データと突き合わせやすくなったという見方もできます。
変更点③:顧客要件が加わった
判断のきっかけとなる要件に、顧客要件が追加されました。
従来からある要件と合わせると、こうなります。

- 客観要件:用途や需要者から見て、輸出者自身が「おそれあり」と判断できる場合
- インフォーム要件:経済産業大臣から通知された場合
- 顧客要件:2025年10月9日の見直しで加わった要件
- 文書等告示:一定の文書等に基づく場合
顧客要件の詳しい中身は、経済産業省の改正資料でご確認ください。 改正後のQ&Aにも「顧客要件全般に関する質問」というまとまったページが用意されています。この記事では、判断のきっかけが1つ増えたという点を押さえてください。確認シートがその1つに対応しているかどうかが、実務上の分かれ目になります。
実務で何を差し替えるか
改正対応で見直すべきものを整理します。

- 確認シート(客観要件のチェック項目)… 顧客要件の追加に対応しているか
- フロー図(許可要否の判断手順)… 2025年10月9日施行版に差し替えたか
- 特定品目リスト… 12品目とHSコードの対応を社内資料に反映したか
- 仕向地の区分… グループA/国連武器禁輸国・地域/一般国の3区分で整理し直したか
- 該当しうる自社製品の洗い出し… 特に工作機械・測定機器・集積回路
経済産業省は、手続きフロー図と客観要件確認シートの参考様式を公表しています。ゼロから作る必要はありません。
いつまでに対応すべきか
すでに施行済みです。2025年10月9日から効力が発生しています。
この記事を読んでいる時点で対応が済んでいないなら、優先度は高いと考えてください。旧版のフロー図で判断し続けている場合、確認すべき項目が抜けている可能性があります。
まとめ
- 2025年10月9日施行。名称がキャッチオール規制 → 補完的輸出規制へ
- 通常兵器キャッチオールに一般国向けの新制度が導入された
- 特定品目12件がHSコードで指定された。うち6つが工作機械群
- 顧客要件が判断のきっかけに追加された
- グループA向けに通常兵器キャッチオールが適用されない点は変わらない
- 確認シート・フロー図の差し替えが必要。参考様式は公表されている
名称変更だけを見て「呼び方が変わっただけ」と受け止めると、対応が遅れます。中身が動いた改正です。
実務での具体的な差し替え手順は、有料記事(実務者向け)で扱います。


- 次に読む:通常兵器キャッチオール、12品目とは何か — HSコードで指定された12品目の中身
- あわせて読む:「リスト規制」と「補完的輸出規制」は何が違う? — 二段構えのしくみ
※ 2025年10月9日施行の見直しによります。詳細は経済産業省「補完的輸出規制の見直しについて」および関係通達をご確認ください。制度は今後も改正されることがあります。
改正を見落とさないために(無料)
安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。
社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。
