概要

2025年10月9日から、一般国向けにも通常兵器キャッチオール規制の新制度が適用されるようになりました。

その対象として指定された特定品目は12件。そして、うち6件が工作機械です。

もし工作機械や測定機器を扱っているなら、この記事は自社に直接関わります。

みなとくん船長、うちは工作機械の部品を作っているんですが……
あんぼう船長それならなおさら、この12件は見ておくべきじゃな。ひとつずつ確認していこうぞ
## この記事で学べること
  • 通常兵器キャッチオールの対象12品目と、その半分が工作機械であること
  • HSコードで指定されているという特徴
  • 該当した場合に何が起きるのか

12品目の一覧

輸出令別表第一の16の項(1)に対応し、貨物等省令第14条の2で具体的な範囲が定められています。

12品目のうち、半分が工作機械
12品目のうち、半分が工作機械

工作機械群(1〜6・省令 第一号)

  1. レーザーその他光子ビーム、超音波、放電、電気化学的方法、電子ビーム、イオンビーム又はプラズマアークを使用して材料を取り除くことにより加工する機械、ウォータージェット加工機
  2. 金属加工用のマシニングセンター、ユニットコンストラクションマシン、マルチステーショントランスファーマシン
  3. 旋盤
  4. 金属用のボール盤、中ぐり盤、フライス盤、ねじ切り盤、ねじ立て盤
  5. 研削盤、ホーニング盤、ラップ盤、研磨盤その他仕上げ用加工機械
  6. 平削り盤、形削り盤、立削り盤、ブローチ盤、歯切り盤、歯車研削盤、歯車仕上盤、金切り盤、切断機その他加工機械

そのほか(7〜12)

  1. レーダー、航行用無線機器、無線遠隔制御機器(第二号)
  2. 集積回路(第三号)
  3. 航空機、宇宙飛行体、打上げ用ロケット及びこれらの部分品(第四号)
  4. 羅針盤その他航行用機器(第五号)
  5. 物理分析用・化学分析用の機器、粘度・多孔度・膨張・表面張力等の測定用又は検査用の機器、熱・音・光の量の測定用又は検査用の機器(第六号)
  6. オシロスコープ、スペクトラムアナライザーその他電気的量の測定用又は検査用の機器、電離放射線の測定用又は検査用の機器(第六号)

1〜6が工作機械群で、省令上はすべて第一号にまとめられています。

HSコードで指定されているのが特徴

この12品目は、関税率表の項番(HSコード)で範囲が指定されています。

たとえば第一号は、関税率表の第84.56項・第84.57項・第84.58項、といった形で指定されています。第二号は第85.26項、第三号は第85.42項、といった具合です。

「通関で使う番号が、そのまま規制の判断に使われる」

これは実務上、やりやすくなった面があります。輸出申告のためにHSコードは必ず調べるので、既存の業務データと突き合わせやすいからです。

なぜこの12品目なのか

兵器ではなく、兵器を作る道具
兵器ではなく、兵器を作る道具

一貫した性格があります。兵器の製造に使える機械・部品です。

  • 工作機械(1〜6):金属を削り、穴を開け、形を作る。武器の部品を作れる
  • レーダー・無線機器(7)軍用の探知・通信に転用できる
  • 集積回路(8)兵器の制御に組み込める
  • 航空機・ロケット(9)そのまま軍事転用されうる
  • 羅針盤その他航行用機器(10)誘導に使える
  • 測定機器(11〜12)兵器の性能を検証できる

「兵器そのものではないが、兵器を作るのに要るもの」

これがキャッチオール規制の考え方です。リスト規制が「兵器に使えるスペックの貨物」を名指しするのに対し、こちらは「作るための道具」を押さえにいっています。

行き先で扱いが変わる

重要な点です。この新制度は、すべての国向けに適用されるわけではありません。

この新制度が効くのは、どこ向けか
この新制度が効くのは、どこ向けか
  • グループA(輸出令別表第三・27か国)… 適用されない
  • 国連武器禁輸国・地域(別表第三の二・10か国・地域)… 従来から対象
  • 上記以外の一般国2025年10月9日から新制度が適用

つまり、影響を受けるのは「グループA以外の一般国向け」の取引です。

該当したらどうなるのか

12品目に当てはまれば、即座に許可が必要になるわけではありません。

用途や需要者の確認をしたうえで、懸念があれば許可が必要になります。判断のきっかけは、客観要件・インフォーム要件・顧客要件・文書等告示です。

経済産業省は手続きフロー図を公表しており、判断の順番が1枚にまとめられています。まずこれを手元に置くことをおすすめします。

実務でまずやること

まず、この順にたどる
まず、この順にたどる
  1. 自社製品のHSコードを洗い出す
  2. 12品目の対象HSコードと突き合わせる
  3. 該当するものについて、仕向地を確認する。グループA向けなら通常兵器キャッチオールは適用外。一般国向けなら4へ進みます
  4. 用途・需要者を確認する(フロー図に従う)
  5. 懸念があれば許可申請

①と②は、一度やれば製品ごとの棚卸しとして残せます。 毎回ゼロから調べる必要はありません。

まとめ

  • 通常兵器キャッチオール新制度の特定品目は12件(輸出令16の項(1)/貨物等省令第14条の2)
  • うち6件が工作機械群(レーザー加工機・マシニングセンター・旋盤・ボール盤等・研削盤・平削り盤ほか)
  • ほかはレーダー/集積回路/航空機・ロケット/羅針盤/分析機器/オシロスコープ等
  • HSコードで指定されているため、通関データと突き合わせやすい
  • 共通する性格は「兵器そのものではないが、兵器を作るのに要るもの」
  • グループA(27か国)向けには適用されない
  • 該当しても即許可ではない。用途・需要者の確認を経て判断する

さて、自社製品のHSコードは、すぐに一覧で出せる状態でしょうか。

出せるなら、この12品目との突き合わせは半日で終わる作業かもしれません。出せないなら、そこが最初の一歩になります。

みなとくん船長、うちの製品のHSコード、経理に聞けば分かりそうです
あんぼう船長よい着眼じゃ。輸出管理は輸出管理部門だけの仕事ではないでな。通関の情報とつなげると早いんじゃよ
次に読むなら、こちらをどうぞ。

※ 品目リストは経済産業省「一般国向け通常兵器キャッチオール規制対象貨物(特定品目)リスト」(令和7年10月9日施行対応版)によります。改正により変更されることがあります。実際の判断にあたっては、輸出令別表第一16の項および貨物等省令第14条の2の条文をご確認ください。

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