概要
輸出管理を学んだ方の多くが、外為法の罰則を「第69条の6」として覚えているはずです。テキストにも解説書にも、そう書かれてきました。
いまは違います。
2026年6月5日施行版では、主要な罰則は第69条の7と第69条の8に規定されています。そして現在の第69条の6は、罰則ではありません。
- 誰に影響するか:条番号を引用する立場の方(記事・社内資料・研修資料を作る方、試験を受ける方)
- やること:手元の資料の条番号を確認する


- 主要な罰則が「69条の7」「69条の8」に変わっていること
- なぜ条番号がずれたのか
- 社内資料のどこを直せばよいか
現在の条番号
2026年6月5日施行版での対応です。

第69条の7が無許可輸出・無許可の技術提供(48条1項・25条1項ほか)と、核兵器等関連の重い類型。
第69条の8が補完的輸出規制(キャッチオール)等の命令違反と無承認輸出。
そして第69条の6は、命令の経過措置に関する規定です。罰則ではありません。
「1つずつ後ろにずれた」。
なぜずれたのか
法改正で条文が追加・整理されると、後ろの条番号が動くことがあります。輸出管理の法令は改正が頻繁なので、こうしたずれは珍しくありません。
法律の条文には「第69条の6の2」のような枝番を使う方法もありますが、整理のタイミングで番号が振り直されることもあります。
中身も確認しておく
条番号だけでなく、法定刑も押さえておきます。
第69条の7(無許可輸出・無許可の技術提供)
7年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金 (目的物価格の5倍が2,000万円を超えるときは価格の5倍以下)。併科あり
さらに核兵器等(核・化学・生物兵器、政令指定のロケット・無人航空機)に関わる特に重い違反には、
10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(または価格の5倍)
が定められています。一部は未遂も処罰されます。
第69条の8(補完的輸出規制等の命令違反・無承認輸出)
5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(または価格の5倍以下)
行政制裁は第53条のまま

一方、行政制裁の条番号は変わっていません。
第53条により、無許可輸出をした者に対して、経済産業大臣が3年以内の期間を限り、輸出または技術の提供を禁止することができます。
刑事罰(69条の7・69条の8)と行政制裁(53条)の二本立てという構造も、変わっていません。
何を直せばよいか
条番号を書いている資料を洗い出してください。

- 社内研修の資料
- 輸出管理内部規程(CP)で条文を引用している箇所
- 取引先へ配布している説明資料
- 個人の学習ノート
- 過去に書いた記事・ブログ
古い条番号のまま配ると、読んだ人が誤った条文にたどり着きます。 影響範囲は小さくありません。
「両罰規定」も要確認
法人を処罰する両罰規定(従業者が違反したとき、法人にも罰金を科す規定)についても、条番号が動いている可能性があります。
引用する予定があるなら、こちらも最新版で確認してください。
確認方法

いちばん確実なのはe-Gov法令検索です。無料で、誰でも使えます。
- 外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)
- 法令ID:
324AC0000000228
条文の施行日が明記されているので、「いつ時点の条文か」を確認したうえで引用できます。
この記事も、いつか古くなります
最後にひとつ。この記事に書いた条番号も、将来また変わる可能性があります。
だからこの記事の本当の結論は、条番号そのものではありません。
条番号は覚えるものではなく、引用するたびに確認するもの
これが、輸出管理という改正の多い分野で仕事をするうえでの、確かな習慣だと思います。
まとめ
- 主要な罰則は第69条の7(無許可輸出等)と第69条の8(補完的輸出規制違反等)
- 現在の第69条の6は罰則ではない(命令の経過措置)
- 69条の7は7年以下/2,000万円以下、核兵器等関連は10年以下/3,000万円以下
- 69条の8は5年以下/1,000万円以下。いずれも価格の5倍まで科されうる
- 行政制裁は第53条のまま(3年以内の輸出禁止)
- 両罰規定の条番号も要確認
- 条番号はe-Gov法令検索で施行日つきで確認できる
手元の資料に「69条の6」と書かれていませんか。もしあれば、今日のうちに直しておきましょう。


- 次に読む:速報:キャッチオール規制が「補完的輸出規制」になりました — 名前のほうが変わった話
- あわせて読む:その輸出、違反したら何が起きる? — 罰則の中身を構造から
※ 条番号および法定刑は、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)2026年6月5日施行版によります。改正により変わることがあるため、引用時は必ずe-Gov法令検索で最新版をご確認ください。
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