概要
輸出管理をしていると、必ず判断に迷う場面が来ます。
- この製品、該当するか微妙だ
- この特例、使えるのか分からない
- この相手、大丈夫だろうか
- 過去の案件で、まずいものがあったかもしれない
そのとき、選択肢は3つあるように見えます。

① 大丈夫だろうと判断して出す。これは危ない。② 分からないので全部断る。これでは事業が回りません。そして③ 相談する。
③があることを、意外と知られていません。
経済産業省の入門編資料にも、はっきり書かれています。
悩んだら、経済産業省へ相談


- 用件ごとに相談窓口が分かれていること
- どの窓口に、何を聞けばよいのかの対応関係
- 相談する前に準備しておくとよいこと
窓口は用件で分かれています
いちばん大事なのは、用件によって窓口が違うということです。間違えると、たらい回しになります。

- ① リスト規制・補完的輸出規制、包括許可の申請手続き等 → 安全保障貿易審査課(03-3501-2801)
- ② 輸出者等遵守基準・CP(輸出管理内部規程)、不正輸出の連絡 → 安全保障貿易検査官室(03-3501-2841)
- ③ 制度の概要・法令解釈 → 安全保障貿易管理課
- ④ みなし輸出管理(特定類型の該当性など) → 安全保障貿易管理課/安全保障貿易審査課
- ⑤ 安全保障に係る輸出管理以外の問い合わせ → 貿易管理課(03-3501-0538)
そして、もう1つ。違反が判明したときは専用の窓口があります。
- ⑥ 無許可輸出等が判明した場合の事後審査 → 安全保障貿易検査官室 事後審査担当(03-3501-2841)
使い分けの具体例
「自分の疑問はどこに聞けばいいのか」。具体例で示します。
① 安全保障貿易審査課
- この製品の該非判定、これで合っているか
- 許可申請の書き方が分からない
- 添付書類は何が要るか
- 包括許可を取りたいが、どれを選べばいいか
- 補完的輸出規制で、事前に相談したい
「申請」に関わることは、ここです。
なお、リスト規制と補完的輸出規制でメールアドレスが分かれています。用件に合うほうを使ってください。
② 安全保障貿易検査官室
- 輸出者等遵守基準は、うちの規模でどこまでやればいいか
- CP(輸出管理内部規程)を作りたい
- CPの届出をしたい
- 不正輸出の情報がある
「社内の体制」に関わることは、ここです。
③ 安全保障貿易管理課
- この制度は、そもそもどういう趣旨か
- この条文の解釈はどうなるか
- 改正の内容について知りたい
「制度そのもの」の話は、ここです。
④ みなし輸出管理
特定類型の話は、専用の相談先があります。
「この社員は特定類型に当たるか」「誓約書はどう取ればいいか」は、安全保障貿易管理課(特定類型該当性やその確認手続)です。
「みなし輸出の許可申請書類の書き方」は、安全保障貿易審査課です。
「該当するかどうか」と「申請書の書き方」で分かれます。
⑤ 貿易管理課
安全保障貿易管理以外の貿易手続きの話です。
輸出入の許認可には、安全保障以外の理由によるものもあります。そちらはこの窓口です。
⑥ 事後審査担当
無許可輸出等が判明したときの窓口です。
「メールでのお問い合わせにご協力を」と案内されています。まずメール、が原則です。
手順は違反に気づいたら、最初に何をするかで扱っています。
もう1つの相談先:中小企業等アウトリーチ事業
経済産業省の窓口とは別に、中小企業向けの支援があります。
経済産業省は、安全保障貿易管理制度に対する中小企業の理解と対応を促進するべく、以下の支援をすべて無料で実施しています。
- 輸出管理に係る体制構築支援(専門家を無料で派遣)
- 輸出管理に係る相談対応(商工会議所との連携事業)
- 説明会の開催
- 学習用コンテンツの公開
②の窓口は商工会議所に置かれています。
- 日本商工会議所
- 東京商工会議所(03-3283-7604)
- 名古屋商工会議所(052-223-6741)
- 大阪商工会議所(06-6944-6411)
★商工会議所の会員・非会員を問わず利用できます。
相談はWEB会議や電話等で、1回約30分ほど。アドバイザーは、製造業や士業において企業の輸出管理実務に長年携わってきたベテランの方々です。
詳しくは無料で専門家に相談できますへ。
相談する前に、準備しておくとよいこと
窓口に電話やメールをする前に、手元にあると話が早いものです。

製品・技術について
- 製品名・型式
- 仕様書・カタログ(スペックが分かるもの)
- 自分で調べた該当項番(あれば)
- どこで判断に迷っているか
取引について
- 仕向国・仕向地
- 輸入者・最終需要者の名称
- 用途
- 取引の経緯(新規か既存か)
自分の状況
- ★何を調べたうえで分からないのか
★最後の項目が効きます。
「全部分かりません」より、「ここまで調べて、ここで詰まりました」のほうが、的確な答えが返ってきます。
そして、これは相談のマナーというより、調べた過程が、そのまま記録になるからです。
聞くこと自体が、記録になります
この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。
輸出管理では、「調べた事実を残すこと」に意味があります。

残しておくものは5つです。
- 相談した日
- 相談した窓口
- 質問した内容
- 回答の要旨
- その回答をどう案件に反映したか
「経済産業省に相談したうえで判断した」という記録は、判断の根拠として強いです。
逆に、相談せずに自己判断で進めて、あとで問題になった場合、「なぜ確認しなかったのか」を問われます。
相談は、負けではありません。手順の一部です。
Q&Aも先に見ておく
窓口に聞く前に、Q&Aで解決することも多いです。
経済産業省は、用途別に分かれたQ&Aを公開しています。
- 該非判定について
- 申請全般・申請書の記載方法
- 添付書類
- 包括許可
- 特例
- 電子申請
- 積替規制/仲介貿易取引規制
- 分野別(工作機械、化学品、コンピュータ 等)
「よくある疑問」は、たいてい載っています。
Q&Aで解決しなければ相談する。この順番が効率的です。
まとめ
- 「分からないまま出す」以外に、「相談する」という道がある。資料にも「悩んだら、経済産業省へ相談」と明記
- ★窓口は用件で分かれている。 間違えるとたらい回しになる
- ① 申請・該非判定 → 安全保障貿易審査課(03-3501-2801)
- ② 遵守基準・CP・不正輸出の連絡 → 安全保障貿易検査官室(03-3501-2841)
- ③ 制度の概要・法令解釈 → 安全保障貿易管理課
- ④ みなし輸出/特定類型 → 該当性は管理課、申請書は審査課
- ⑤ 安全保障以外の貿易 → 貿易管理課(03-3501-0538)
- ⑥ 違反が判明したとき → 事後審査担当(メールが原則)
- 別途、中小企業等アウトリーチ事業がすべて無料で相談・専門家派遣を実施。商工会議所の会員・非会員を問わない
- 相談前に製品仕様・取引情報・★「何を調べて、どこで詰まったか」を用意する
- ★相談した記録が、判断の根拠になる。相談は負けではなく手順の一部
- 先にQ&Aを見ると、解決することも多い
さて、いま抱えている「よく分からない案件」、どの窓口に聞けばいいか、決まったでしょうか。


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※ 窓口・電話番号は経済産業省 説明会資料「安全保障の輸出管理への入門」(令和7年度版・作成2025年12月時点)p.51、および「事後審査(安全保障貿易)」(最終更新2026年4月6日)によります。窓口・連絡先は変更されることがあります。 ご連絡の前に必ず 経済産業省 安全保障貿易管理 で最新の情報をご確認ください。メールアドレスは資料上「(at)」表記のものを含みます。
改正を見落とさないために(無料)
安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。
社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。
