改正で新しく規制対象になる品目がある。施行日は3か月後。でも、出荷はその直後。
こう考えていませんか。
「施行日を過ぎてから申請するしかない。審査期間を考えると、出荷が遅れる」
そうではありません。
経済産業省は、改正の施行前から許可申請を受け付ける運用をしています。
2025年11月14日公布・2026年2月14日施行の改正では、こうでした。
2025年11月14日 公布
2025年12月15日 ★事前受付 開始 ← 施行の2か月前
2026年 2月14日 施行
2026年 2月16日 ★許可が下りはじめる
施行の2か月前から申請を受け付け、施行の2日後から許可が出る。この2か月を使えるかどうかで、出荷スケジュールが変わります。
ただし、問題が1つあります。施行前なので、新しい貨物項番も省令番号も、まだ存在しません。
NACCSの入力欄を、どう埋めるのか。


この記事を読むと、あなたの実務はこう変わります
- 改正のたびに、出荷スケジュールを2か月前倒しできる可能性が出ます
- NACCSの入力の埋め方が分かります
- 「間に合いません」ではなく「間に合わせる方法があります」と言えるようになります
- 次の改正でも同じ手順で動けるようになります
この記事で扱うこと
この記事の後半では、実際に申請できる形にします。
- ★暫定対応の中身:貨物番号は新番号を選ぶ/省令番号は「0-0」/申請理由に2点を必ず書く。書くべき2点の具体的な文言
- その後どうなるか:施行後、審査官が「0-0」を正しい番号に書き換える。申請者の出し直しは不要。稼げるのは審査期間という時間の構造
- 使いどころの線引き:効く場面4つ/効かない場面3つ
- ★注意点1:暫定の値は改正ごとに変わる:「次も0-0だろう」と決めつけない。事前受付の開始日も改正ごとに設定される
- ★注意点2:貨物番号と省令番号の非対称:片方は選べて、片方は選べない。両方0-0にする誤りが起きる理由
- ★注意点3:品目ごとに選ぶ番号が指定されることがある:枝番まで選べない場合の実例
- 申請前チェックリスト:申請前/NACCS入力/申請後/記録の4段階。「なぜ0-0なのか」を記録に残す理由
- 出荷スケジュールへの落とし込み:逆算の図。許可は施行日より前には出ないという上限
- この運用を知っていることの意味:営業とのやりとりの実例
問題は「番号がまだ存在しない」こと
施行前なので、当然こうなります。
新しい貨物項番 → まだ施行されていない
新しい省令番号 → まだ施行されていない
↓
NACCSの選択肢に、まだ無い(かもしれない)
ここをどう埋めるか。 その暫定対応が、公表資料に書かれています。
1. 暫定対応の中身

2025年12月15日〜2026年2月13日の事前受付期間について、経済産業省はこう案内しました。
| 欄 | 対応 |
|---|---|
| 貨物番号(輸出令別表第1・外為令別表の項番) | 施行後の新しい番号も選択できる状態になっている。対応するものを選択する |
| 省令番号 | 新しい番号はまだ選択できない。「0-0」(暫定番号)を選択する |
| 申請理由 | ★下記2点を必ず記入する |
申請理由欄に書くこと
① 改正内容の施行日前にかかる申請であること
② 改正内容の施行後の該当となる政令番号、省令番号
つまり
貨物番号 → 新番号を選ぶ(選べる)
省令番号 → 「0-0」で仮置き
申請理由 → 「これは施行前の申請です」+「本当はこの番号です」
「本当の番号は申請理由に書いておく」という運用です。
2. その後どうなるか

公表資料は、こう説明しています。
申請を事前に受け付けますが、許可できるのは2026年2月16日からです。2月16日以降、担当審査官が「省令番号」を「申請理由」の欄に記載されたものへと修正を行った上で施行します。
読み解くと、こうです。
事前受付期間に申請
↓
審査は進む(★ここが時間の節約になる)
↓
施行日を過ぎる
↓
★審査官が「0-0」を正しい省令番号に書き換える
↓
許可
申請者が出し直す必要はありません。 審査官側で修正されます。
時間を稼げるのは「審査期間」の部分です。施行を待ってから出すと、そこから審査が始まります。
3. 実務での使いどころ
この運用が効く場面を整理します。
【効く】
□ 改正で新たに規制対象になる品目を扱っている
□ 施行日の直後に出荷予定がある
□ 長納期案件で、施行をまたぐ
□ 包括許可の範囲に新品目を加える必要がある
【効かない】
□ そもそも施行後しばらく出荷予定がない
□ 特例で許可不要になる見込みが立っている
□ 改正の影響を受けない品目
「施行日の直後に出荷がある」場合だけ、と考えて構いません。
4. 注意点1:暫定の値は改正ごとに変わります

いちばん大事な注意です。
「省令番号は0-0」というのは、2025年11月14日公布の改正について、経済産業省が案内した対応です。
【やってはいけないこと】
次の改正でも「0-0」だろうと決めつけて申請する
暫定対応は改正ごとに公表されます。
【毎回すること】
□ METI「施行日前の許可申請の受付について」を開く
□ その改正について、どう記入するかを確認する
□ ★事前受付の開始日を確認する(自動的に始まるわけではない)
事前受付の開始日も改正ごとに設定されます。2025年の例では、公布から1か月後でした。
5. 注意点2:貨物番号は「選べる状態になっている」

資料の書き方に注意してください。
NACCSの申請書において輸出令別表第1及び外為令別表の項番である「貨物番号」は2026年2月14日に施行される新たな番号も選択できる状態となっておりますので、その貨物・技術に対応するものを選択してください。
「なっております」。つまり、事前にシステム側の準備がされているということです。
一方、省令番号は準備されていない。だから「0-0」で代替する。
この非対称を理解しておかないと、「貨物番号も0-0にしてしまう」という誤りが起きます。
貨物番号 → ★新番号を選ぶ(選べる)
省令番号 → ★「0-0」を選ぶ(新番号は選べない)
6. 注意点3:品目によって選ぶ番号が指定されることがある
2025年の例では、ペプチド合成装置について個別の指定がありました。
※1:「3の2(2)」を選択のこと
貨物項番は「3の2項(2)10」ですが、NACCSでは「3の2(2)」を選ぶ、という指定です。
枝番まで選べない場合があるということです。
【教訓】
□ 項番をそのまま入力すればよい、とは限らない
□ ★品目ごとの注記を必ず読む
7. 申請前チェックリスト
事前受付を使うときの手順です。
【申請前】
□ その改正について、事前受付の案内が出ているか確認
□ 事前受付の開始日を確認(★開始前は出せない)
□ 自社品目の新しい貨物項番・省令番号を特定
□ 品目ごとの注記(選ぶ番号の指定)を確認
【NACCS入力】
□ 貨物番号 → 新しい番号を選択
□ 省令番号 → 案内された暫定番号(例:0-0)
□ 申請理由 → ①施行前の申請である旨
②施行後の該当政令番号・省令番号
□ ★①②の両方を書く。片方だけでは足りない
【申請後】
□ 許可が下りる日を確認(★施行日当日ではない)
□ 出荷スケジュールに反映
□ 審査官からの照会に対応できる体制
【記録】
□ 事前受付を使った旨を案件記録に残す
□ 参照した案内ページと、その最終更新日
□ 記入した暫定番号
「記録に残す」は忘れがちですが重要です。後から見た人が「なぜ省令番号が0-0なのか」と混乱するからです。
8. 出荷スケジュールへの落とし込み

事前受付を前提にすると、逆算はこうなります。
【出荷したい日】
↑
通関・出荷準備
↑
許可証の受領
↑
許可(★施行日の直後から)
↑
審査期間 ← ★事前受付で、ここを施行前に消化できる
↑
申請 ← 事前受付開始日 以降
↑
該非判定(新項番で)
↑
改正内容の把握
事前受付を使わないと、「審査期間」が施行後に丸ごと乗ります。
逆に言えば。事前受付を使っても、許可は施行日より前には出ません。ここは動かせません。「施行日の直後に出したい」が上限です。
9. この運用を知っていることの意味
最後に、実務者としての価値の話です。
改正が公布されると、社内ではこういう会話になります。
営業「2月の出荷、大丈夫ですか」 管理「施行が2月14日なので、そこから申請です。審査期間を見ると3月以降ですね」 営業「……」
ここで「事前受付が使えます」と言えるかどうか。
□ 12月15日から申請できます
□ 審査は施行前に進みます
□ 許可は2月16日から下ります
□ 2月中の出荷、間に合う可能性があります
制度を知っているだけで、案件が助かることがあります。
この仕事は「止める仕事」と思われがちですが、通せる方法を知っている人が信頼される。その典型例だと思います。
まとめ
- 経済産業省は改正の施行前から許可申請を受け付ける運用をしている
- 2025年の例では公布11/14 → 事前受付12/15 → 施行2/14 → 許可2/16
- ★省令番号は新番号を選べないので「0-0」(暫定番号)を選ぶ
- ★貨物番号は新番号が選べる状態になっている。この非対称に注意
- 申請理由欄に2点を必ず書く:①施行前の申請である旨 ②施行後の該当政令番号・省令番号
- 施行後、審査官が「0-0」を正しい番号に書き換える。申請者の出し直しは不要
- ★暫定の値と事前受付の開始日は、改正ごとに公表される。前回と同じと決めつけない
- 品目ごとに「選ぶ番号」の指定が付くことがある(枝番まで選べない場合)
- 許可は施行日より前には出ない。稼げるのは審査期間
- 記録に事前受付を使った旨と暫定番号を残す
- 「事前受付が使えます」と言えるだけで、案件が助かることがある
さて、次の改正が公布されたとき、事前受付の案内ページを開く、手順に入っているでしょうか。


※ 手順・暫定番号は経済産業省「施行日前の許可申請の受付について」(最終更新2025年11月14日・2026年2月14日施行分)の案内によります。暫定対応の内容は改正ごとに異なります。 実際に申請する際は、必ず 経済産業省 安全保障貿易管理 で当該改正の案内を確認し、不明点は安全保障貿易審査課へご相談ください。
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