概要
「輸出管理をやらないといけないのは分かった。でも、社内に詳しい人がいない」
中小企業では、これがふつうです。
そして、経済産業省もそれを分かっています。だから、こういう事業をしています。
経済産業省は、安全保障貿易管理制度に対する中小企業の理解と対応を促進するべく、以下の支援をすべて無料で実施しています。
① 輸出管理に係る体制構築支援 ② 輸出管理に係る相談対応(商工会議所との連携事業) ③ 説明会の開催 ④ 学習用コンテンツの公開
「すべて無料」と、経済産業省自身が書いています。
そして、相談窓口は
輸出管理体制に係る取組に悩まれている中小企業の皆さまは、簡単な質問からでも問題ありませんので、商工会議所の会員・非会員を問わず、遠慮なくお問い合わせください。
会員でなくても使えます。


- 経済産業省が中小企業向けに無料で提供している4つの支援
- 商工会議所の相談窓口は会員でなくても使えること
- 4つの支援を、自社の状況に応じてどう使い分けるか
なぜ国がここまでするのか

事業の背景として、経済産業省はこう説明しています(要旨)。
- グローバル化の進展や取引の多様化、技術を知りうる人材の国境を越えた流動化等を背景に、中小企業等の情報流出の懸念は高まっている
- 企業秘密とすべき技術情報が流出して競合他社に利用された場合、企業の競争力は毀損され、当該技術の開発に見合った収益を得ることができない事態となる
- 軍事転用可能な技術情報が海外に漏れた場合には、企業の信頼は失墜し、国家の安全保障さえも脅かされてしまう
注目すべきは、順番です。
1番目に書かれているのは、自社の競争力の話です。2番目が、国の安全保障の話になります。
「国のため」ではなく「自社のため」から入っている。
輸出管理は「国に言われてやること」と思われがちですが、技術情報を守ることは、そのまま自社の利益を守ることでもあります。この事業は、その立て付けで作られています。
① 体制構築支援:専門家が来てくれる

いちばん手厚い支援です。
中小企業における積極的な輸出管理体制の構築や運用改善の取組をサポートすべく、経験豊富なアドバイザーを全国に無料で派遣します。
何をしてくれるのか
支援を希望する中小企業とアドバイザーが輸出管理体制の問題点と目標を話し合い、体制構築の進め方を具体化します。 共有された進め方に基づき、中小企業は取組みを進め、アドバイザーは進捗を伺いつつ注意点等を適宜アドバイスします。
一度きりの相談ではありません。 進め方を決めて、進捗を見ながら伴走してくれる形です。
アドバイザーは誰か
アドバイザーは、製造業や士業において企業の輸出管理実務に長年携わってきたベテランの方々です。 支援を希望する中小企業の抱える悩みに即したアドバイザーを事務局が選定し、派遣します。
実務経験者です。しかも悩みに合わせて人を選んでくれます。
進め方
コミュニケーション方式は、メール、WEB会議、現地訪問等から適切な形を検討して実施、とされています。
遠方でも使えます。
申し込み
体制構築支援の申し込みを検討されている方は、本事業事務局にメールかお電話にてお問い合わせください。 後日、事務局から取組状況やお打ち合わせ日時についてご連絡します。
② 相談対応:商工会議所の窓口
もっと軽い相談は、こちらです。
輸出管理の制度や実務に関する様々な疑問や悩みを抱える中小企業に向け、経験豊富なアドバイザーとの無料の個別相談の場を用意します。

令和2年度から、日本商工会議所および東京・名古屋・大阪の各商工会議所に専門の相談窓口が置かれています。電話番号は上の図のとおりです。各窓口のページはこちらです。
- 日本商工会議所:https://www.jcci.or.jp/support/international/outreach/
- 東京商工会議所:https://www.tokyo-cci.or.jp/international/outreach/
- 名古屋商工会議所:https://outreach.nagoya-cci.or.jp/
- 大阪商工会議所:https://www.osaka.cci.or.jp/outreach/
相談の中身
アドバイザー(体制構築支援のアドバイザーと同じ)が、WEB会議や電話等で、輸出管理に関する様々な質問に回答します。(1回約30分ほど)
①と同じアドバイザーが対応します。まず②で相談してみて、本格的に体制を作るなら①へ、という流れが自然です。
東名阪以外の方も使えます
上の4つの窓口以外の地域の方は、日本商工会議所へ連絡すれば案内してもらえます。
また、事務局に直接問い合わせても問題ないと案内されています。
③ 説明会:全国で無料開催

安全保障貿易管理制度の基礎情報から最新の改訂内容をお伝えする説明会を、全国各地で無料にて開催します。
そして
また説明会の会場では、中小企業の参加者の方を対象として、輸出管理体制の構築や運用改善におけるお悩みに経験豊富なアドバイザーがお答えする「個別相談会」も無料で実施します。
説明会に行けば、その場で個別相談もできます。
レベルが3つに分かれています
ここが親切な設計です。
説明会で解説をする安全保障貿易管理制度のコンテンツは、求められる前提知識の量に応じて3つのレベル(入門編・初級編・中級編)に分かれています。
・入門編:輸出管理とは何か、なぜ必要かを説明します ・初級編:安全保障貿易管理において重要となる3つの手続きの説明と、実施しないことで生じるリスクを解説します ・中級編:法令と規制の体系や、手続きの注意点、輸出管理体制 等について解説します
各回ごとにレベルが決まっているので、事前にレベルを確認してから申し込んでください。
これは、公開されている説明会資料のレベル分けとそのまま対応しています(未経験から輸出管理を学ぶ順番で扱っています)。
主催の形式に注意
一部の説明会は、本事業の協力機関(日本商工会議所及び東京・名古屋・大阪の各商工会議所、一部の地方自治体や業界団体)の主催により開催されています。 主催の形式によって申し込み方法が若干異なりますので、申し込みの際はご注意ください。
地方自治体や業界団体が主催する回もあるということです。地元で開催されている可能性があります。
④ 学習用コンテンツ:今すぐ見られる
申し込み不要で、今日から使えます。動画は上の図の右側にある5本です。【概要編】が安全保障貿易管理の重要性、【実務編】が①該非判定・②取引審査・③出荷管理、【事例編】が違反事例を示しつつの解説、【体制構築編】が部門ごとの役割の説明。そして【あなたの会社を守る安全保障の輸出管理】は実務編で、輸出管理の基本を理解された方および実務担当者となられる方向けです。
★5本目は、令和7年度の本事業で作られた比較的新しいコンテンツです。
どう使い分けるか

段階に応じた使い方です。
まだ何も分からないなら、④ 学習用コンテンツ(動画)か、③ 説明会の入門編から。
何をすればいいか知りたいなら、③ 説明会の初級編か、② 商工会議所の個別相談(1回30分)へ。
体制を作りたいなら、① 体制構築支援(アドバイザー派遣・伴走)です。
個別の案件で判断に迷う場合は、経済産業省の相談窓口へ。アウトリーチ事業とは別で、用件別に分かれています。
★最後だけ、行き先が違います。
アウトリーチ事業は「体制をどう作るか」の支援です。「この案件は該当するか」といった個別の判断は、経済産業省の相談窓口が担当します。
窓口の使い分けは迷ったら聞けます~経済産業省の相談窓口、5つの使い分け~へ。
この制度を知っている意味
最後に、少し違う角度から。
入社したばかりの方や、これから輸出管理を目指す方にとっても、この制度は知っておく価値があります。
入社した会社に、輸出管理の体制がなかったとします。そこで「体制がないので分かりません」と止まるのか。
それとも「無料で専門家の支援を受けられる制度があります。使ってみませんか」と言えるのか。
知識ではなく、動き方を知っている人は、どこでも重宝されます。
まとめ
- 中小企業等アウトリーチ事業:経済産業省がすべて無料で実施
- ① 体制構築支援:経験豊富なアドバイザーを全国に無料で派遣。進捗を見ながら伴走してくれる。メール・WEB会議・現地訪問から選べる
- ② 相談対応:商工会議所の窓口で1回約30分。★会員・非会員を問わない。①と同じアドバイザー
- 東名阪以外の地域は日本商工会議所へ。事務局に直接問い合わせても問題ない
- ③ 説明会:全国各地で無料。その場で個別相談会も無料。★入門編・初級編・中級編の3レベル。各回のレベルを事前に確認
- 地方自治体や業界団体が主催する回もある
- ④ 学習用コンテンツ:動画5本。申し込み不要で今日から見られる
- 使い分けは動画→説明会→個別相談→体制構築支援の順
- ★個別案件の該非判断は、アウトリーチ事業ではなく経済産業省の相談窓口
- 背景説明の1番目に書かれているのは「自社の競争力」の話
さて、「社内に詳しい人がいない」。それは、この事業を使う理由になります。


- 次に読む:未経験から輸出管理を学ぶなら、どの順番か — これから目指す方へ(有料記事)
- あわせて読む:迷ったら聞けます:経済産業省の相談窓口、5つの使い分け — 個別案件で迷ったときの聞き先
※ 内容は経済産業省「中小企業等アウトリーチ事業」(https://www.meti.go.jp/policy/anpo/chusho.html ・2026年8月2日確認)によります。支援内容・窓口・連絡先は年度により変わります。 また、説明会資料の記載と一部異なる箇所があり、本記事はWebページの記載を採用しています。お申し込みの前に必ず 経済産業省 安全保障貿易管理 および各商工会議所のページで最新の情報をご確認ください。
改正を見落とさないために(無料)
安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。
社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。
