概要
輸出管理は「何を送るか」で決まる。半分は正解です。
もう半分は、「どこへ送るか」で決まります。同じ製品でも、送り先によって必要な手続きが変わるのです。
その分かれ目の一つが、グループAと呼ばれる27か国です。


- 同じ製品でも行き先で手続きが変わる、その分かれ目
- グループA27か国とは何か、逆側のリストとの違い
- 実務で行き先を確認するときに、どの表を見るのか
グループAとは何か
グループA=「輸出管理の制度がきちんと整っていると認められた国」のグループです。
法令上は輸出貿易管理令 別表第三に掲げられた国・地域を指します。かつては「ホワイト国」と呼ばれていましたが、現在はグループAという呼び方が使われています。
27か国あります。

上の図のとおり、アジア・オセアニアが3か国、北米・南米が3か国、そしてヨーロッパが21か国。ヨーロッパが大半を占めているのが特徴です。
グループAだと、何が違うのか

大きく2つあります。
① 通常兵器キャッチオール規制が適用されない
補完的輸出規制のうち、通常兵器に関するものは、グループA向けには適用されません。制度が整っている国へ送るなら、二段目の網の一部は張られないということです。
② 手続き上の優遇がある
包括許可や、許可を要しない特例の適用において、グループA向けは有利に扱われる場面があります。
「信頼できる相手には、手続きを軽くする」。
これは日本だけの発想ではありません。国際的な輸出管理の枠組み(ワッセナー・アレンジメントなど)に参加している国同士で、相互に手続きを簡素化する考え方が背景にあります。
逆側のリストもあります
グループAが「制度が整っている国」なら、逆側もあります。
輸出令 別表第三の二、国連の武器禁輸国・地域です。10か国・地域が掲げられています。
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
こちらは逆に、通常兵器キャッチオール規制の対象として、より慎重な扱いが求められます。
「別表第三の三」は国のリストではない

ここで、混同しやすい注意点を一つ。
別表第三、別表第三の二と来て、別表第三の三もあります。名前が似ているので国のリストだと思われがちですが、これは貨物の指定です。
別表第一の特定の項(5の項の一部、7の項の一部、8の項、9の項の一部、10の項の一部、12の項の一部、13の項の一部)に掲げる貨物などが対象になっています。
名前が似ているだけで、中身はまったく違います。 条文を引くときは注意してください。
米国にも似た仕組みがあります
参考までに。日本から米国製品を第三国へ送る場合、米国の輸出管理規則(EAR)が関わってくることがあります。
そのEARにも、カントリーグループという国の分類があります。A:1からE:2まで区分され、日本はA:1〜A:5とBに属しています。
日本の「グループA」と米国の「カントリーグループ」は別の制度ですが、「行き先で扱いを変える」という発想は共通しています。
「行き先で線を引くのは、輸出管理の世界共通の考え方」。
実務では何を確認するのか

行き先に関して確認すべきことを整理します。
① 送り先の国は、グループA(別表第三)か?
→ Yesなら通常兵器キャッチオールは適用されない
→ 包括許可・特例で有利な扱いがありうる
↓
② 送り先は、国連武器禁輸国・地域(別表第三の二)か?
→ Yesならより慎重な確認が必要
↓
③ 相手先は、外国ユーザーリストに載っていないか?
→ 国だけでなく「組織」も見る必要がある
国が安全でも、相手先の組織が懸念先である可能性は残ります。国のリストと組織のリストは別物です。
国のリストは変わります
最後に大事な注意です。グループAの構成国は、政令改正で変わることがあります。
過去にも、国際情勢を踏まえた見直しが行われてきました。「27か国」という数字も、いつまでも同じとは限りません。
リストを引用するときは、必ず最新の輸出令別表第三を確認してください。 e-Gov法令検索で無料で確認できます。
まとめ
- 輸出管理には「何を送るか」と「どこへ送るか」の2つの軸がある
- グループA=輸出令 別表第三の27か国。輸出管理制度が整っていると認められた国
- グループA向けは通常兵器キャッチオール規制が適用されず、手続き上も優遇がある
- 逆側は別表第三の二=国連武器禁輸国・地域の10か国・地域
- 別表第三の三は国のリストではなく貨物の指定。混同注意
- 米国EARにもカントリーグループという似た仕組みがある(日本はA:1〜A:5とB)
- 国が安全でも、相手先の組織は別に確認が必要
- リストは政令改正で変わる。引用時は最新版を確認
さて、あなたの会社の主な輸出先は、グループAに入っているでしょうか。入っていないとすれば、二段目の確認がより重要になります。
その「組織のリスト」が、外国ユーザーリストです。835件が載っているこのリスト、どんな組織が並んでいるのでしょうか。


- 次に読む:違反企業の71%はCP未届出 — どんな会社で違反が起きているのか
- あわせて読む:外国ユーザーリストに載っているのはどんな組織か — この記事で触れた「組織のリスト」
※ 国名は輸出貿易管理令 別表第三・別表第三の二(2026年6月5日施行版)によります。政令改正により変更されることがあるため、引用時はe-Gov法令検索で最新版をご確認ください。
改正を見落とさないために(無料)
安全保障貿易の制度は、たびたび改正されます。安貿ナビでは、経済産業省・CISTEC・米国EARの新着を確認し、実務への影響をメールでお届けしています。
社内の輸出管理教育をご検討の企業のご担当者さまには、あわせて資料をお送りしています。
